私たちの薬剤学研究室の歴史をさかのぼると、東京都千代田区神田駿河台にあった工学部(現・理工学部)に薬学科が設置された1952年(昭和27年)にたどりつく。この時、現在の研究室の前身である調剤学教室が誕生した。それから36年たった1988年(昭和63年)に理工学部薬学科より薬学部として分離独立。千葉県船橋市に移り、現在の薬剤学研究室となっている。薬剤学研究室の初代教授は、齋藤太郎先生・元関東逓信病院薬剤科部長・元共立薬科大学教授(1983~1988年)であり、その後、堀岡正義教授・元九州大学医学部附属病院薬剤部長(1988~1992年)、花野 学教授・東京大学名誉教授(1992~2000年)、渡邊 淳教授・名古屋市立大学名誉教授(2000~2003年)、伴野和夫教授(2003~2017年)と受け継がれ、2017年より鈴木豊史が主宰させていただき5年目を迎えた。私たちの研究室は、我が国の薬剤師の育成のみならず、薬剤学の発展のために、微力ながらその一翼を担わせていただき、今日に至っている。
現在の研究室は、専任講師の鈴木 直人、助教の長友太希、を含め3名のスタッフで構成されている。学部の教育では、主に生物薬剤学、物理薬剤学、製剤学、薬物送達学に関わる領域を担当している。4年生後期から~6年生までに配属された総勢25名程度の学部学生は、教員と大学院生の指導のもとで、それぞれのグループに分かれ以下の研究に取り組んでいる。現在、1.候補薬の血液/鼻から脳への輸送機構の解明、2.候補薬の鼻から脳への最適な経鼻投与製剤の開発、3.脳・中枢神経系病態モデルにおける候補薬の経鼻投与による有効性の評価、4. 医薬品物性改善を目的とした分子複合体に関する物性研究、5.医薬品評価に関する臨床製剤学的な研究が進行している 。グループの研究内容の詳細は、研究テーマのページをご覧いただきたい。各グループは、特有の技術を最大限に活かすことに特化する一方で、相互に連携を図りながら、調整や協力するよう務めている。実験データの共有やフィードバックの効率的なサイクルをまわしつつ、革新的な研究領域に挑戦している。このホームページは、私たちの研究室への関心を高め、魅力を感じるような情報を発信していくことを目的として開設した。
私たちスタッフは、単に知的好奇心を駆り立てるための教育・研究のみならず、多くの能力を秘めた学生が人間的にも社会的にも成長できるよう共働し、そのための努力を怠らず自ら日々邁進し、医療の発展に貢献していきたいと考えている。
2021年3月1日
教授 鈴木 豊史